背景と課題
NANKAIグループは、鉄道、商業施設、不動産など多岐にわたる事業を展開しています。グループ内の多様なサービスを共通IDで快適に利用できるようにし、顧客一人ひとりに合わせたサービス提供を目指していました。
しかし、既存の認証基盤はオープンソースソフトウェア(OSS)ベースで構築されており、ソーシャルログインやゲスト会員機能といった「顧客にとっての使いやすさ」を高める機能の実現には、自社開発によるリスクや開発・運用コストの増加が課題となっていました。
フレクトはこれらの課題に対し、既存のOSSベース認証基盤からIDaaS「Auth0(Okta, Inc. が提供する企業の顧客向け認証基盤サービス)」への移行を提案しました。これにより、顧客IDが事業横断で統合され、顧客にとって使いやすく、継続的に改善可能な新たな認証基盤の構築が支援されました。
開発のポイント
1. シームレスなログイン体験とアカウントリンクによるID統合
Auth0で構築された新しい認証基盤は、GoogleやAppleといった国内外のソーシャルログインに対応しています。Auth0の標準機能では、ソーシャルログイン時にユーザーがIDプロバイダー(IdP)ごとに異なるIDとして登録されるため、今回はアカウントリンク機能を実装しました。これにより、複数のアカウントを適切に1つに統合できる仕組みを実現し、ユーザーが複数の認証方式を使い分けている場合でも自然にIDを統合できるよう工夫が凝らされています。
2. minapitaブランドと一体化した管理画面
顧客が自身のメールアドレスやパスワードなどを変更・管理するアカウント管理画面は、Auth0のAPIを活用して構築されました。minapitaのブランドと一体感のあるユーザーインターフェース(UI)に仕上げることで、利用者にとってサービスの一部として自然に使える画面となっています。
3. パスワード再設定を伴わない移行
数十万件の既存会員データを、パスワードを再設定することなく新認証基盤へ移行することに成功しました。移行当日のシステム停止可能時間が終電から始発までの約4時間という時間的制約があったため、綿密な移行計画が立てられました。具体的には、システム移行前から段階的にユーザーデータを移行し、移行当日は差分のみの移行で済むように計画。リハーサルを重ねた結果、移行当日は大きなトラブルなく完了しました。

成果と今後の展望
認証基盤の刷新により、minapita IDと連携するサービス数は3から5へ拡大しました。ソーシャルログインおよびシングルサインオン(SSO)の導入により、顧客は一つのIDで複数のサービスをよりスムーズに利用できるようになっています。また、NANKAIグループとしても、複数サービスにおける顧客行動データを横断的に把握・分析する基盤が整備されました。今後は、蓄積される顧客行動データを活用し、サービスの改善や新たな価値提供につなげていく方針です。
NANKAIではminapita IDを軸に、鉄道・商業施設・イベントなどの顧客行動データを活用し、事業横断でのOne to Oneマーケティングを進めていく予定です。将来的には、AIを活用したデータ分析や顧客セグメンテーションを進め、マーケティング施策に活用することで、沿線で「くらす・働く・訪れる」すべての人への価値提供につなげていくとしています。フレクトは今後も、NANKAIのさらなるデジタル変革を継続的に支援していくとのことです。
<開発秘話のインタビューはこちら>
フレクトについて
フレクトは、クラウドとAIの先端テクノロジーで新しい顧客体験を創造する「攻めのDX」支援を手掛けるクラウドインテグレーターです。SalesforceやAPI連携プラットフォームのMuleSoftからは、実績や技術力が評価され最高位のパートナー認定を受けています。また、IDaaSのAuth0を提供するOkta社からは、アジアパシフィックで初の『Customer Identity Cloud Service Delivery Specialization』認定を受けており、認証領域においても高い専門性と実績を評価されています。
企業サイト: https://www.flect.co.jp

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