JR東日本、鉄道輸送の安全・安定輸送構築に向けた取り組みの進捗状況を報告

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輸送トラブルを踏まえて講じた処置

年初に発生したトラブルに対し、それぞれの直接的な原因に応じた対策が講じられています。例えば、山手線・京浜東北線の停電では、作業終了後の送電開始時における検電接地装置の取り扱い誤りが原因とされ、確認体制の強化や具体的な切り離し・復旧方法の訓練が導入されました。常磐線の架線断線については原因調査が進められ、同種設備の補強が緊急処置として実施されています。京葉線八丁堀駅のエスカレーター火災では、過去の工事によるケーブルの絶縁被膜損傷が原因と推定され、配線見直しや二重保護、定期検査項目の見直しが行われました。宇都宮線の停電では、トロリ線の張替計画の誤りやモニタリングデータの反映不足が課題とされ、検査責任者と工事計画責任者による相互確認や、架線設備モニタリングのDX化推進が進められています。

輸送トラブル発生原因と対策

今後の安全・安定輸送構築に向けた6項目の取り組みの進捗状況

1. 安全・安定輸送に関する業務フロー(作業手順)の見直し

長時間の運転見合わせに直結する重要ポイントのチェック体制が見直され、強化が進められています。2026年2月からは、電気設備維持管理システムで得られた検査データの確認人数や方法がルール通りに実施されているか、その実効性が継続的に確認・改善されています。また、車両関係のルールは2026年4月に「整備規程」と「ガイドライン」に抜本改正され、メンテナンス方法や技術的根拠の整理が進められています。保守用車等の故障時における復旧体制マニュアルも、具体的な救援実施の判断や方法が明記されるよう、2026年4月に見直しが行われました。

2. 異常時の対応力向上

異常発生時の対応力を高めるため、以下の取り組みが進んでいます。

  • お客さまの救済についての責任者の配置: 駅間で長時間停車が見込まれる場合、お客さまの救済に専念する責任者が輸送復旧の責任者とは別に配置されます。これにより、降車誘導以外のあらゆる救済手段を検討し、速やかに指揮を執れる体制が整備されます。

  • 事象発生から30分以内での降車誘導の準備指示の徹底: 事象発生から30分以内にお客さまの救済方法を判断し、降車誘導の準備指示を関係箇所へ行うことが徹底されています。実際に2026年3月13日に常磐線内原駅構内で発生した踏切障害事故では、30分以内に関係箇所へ準備指示が行われ、速やかな降車誘導が実施されました。

  • 実践的な訓練の定期的な実施: 大規模な輸送障害や降車誘導を想定した訓練が、より実践的な内容にレベルアップされています。現車を用いた訓練と机上訓練を組み合わせ、地形や時間帯、乗車人員など複数の条件を想定した訓練が実施されています。警察・消防関係者との合同訓練や、お身体が不自由な方による降車誘導体験なども行われています。

東京総合指令室での会議

夜間の列車からの降車誘導

「スルーガイド」運用訓練の様子

  • 異常時対応力向上のための予備品増備: 安全・安定輸送に直結する車両機器などを中心に、予備品の増備が順次行われています。

3. 検査や点検のレベルアップ

  • 予兆把握の取り組み: モニタリング技術の導入やDX化の加速により、設備トラブルが発生する前に劣化状況を捉え、故障の予兆を把握し、的確なタイミングで修繕を実施する取り組みが進められています。

AIによる鉄道インフラ検査の導入計画

  • 異常時におけるドローンによるリモート点検の実施: 災害や異常発生時において、社員が徒歩等で確認していた被災状況等を、ドローンによるリモート点検で速やかに把握し、早期の運転再開につなげるための実装が進められています。

ドローンによる線路沿線点検と災害調査

4. 設備メンテナンスや事故復旧にあたる第一線社員の技術力の向上・強化

2027年度には技術系採用数を従来の計画より約150名増やし、研修・訓練の機会を増やします。地上設備メンテナンスにおいては、グループ会社やパートナー会社との人事交流を拡大し、相互に技術・知識を高め合うことで、グループ一体でのメンテナンス技術力向上を目指しています。また、新しい技術やシステムの導入に対応するため、「作業の目的」「機器の動作原理」「ルールの成り立ち」などを学ぶ教育訓練や、技能教習所などの訓練設備を活用した実践的・体験重視の訓練を推進しています。

5. 設備の維持管理に関わる修繕費の増額

2026年度末までにコロナ禍の影響を取り戻すべく、修繕費が増額されます。2026年度は修繕費総額3,620億円(対前年約300億円増)が計画されており、コロナ禍で抑制されていた設備修繕が実施され、設備管理の考え方が設備故障等を未然に防ぐ方針に戻されることで、安全・安定輸送上のリスクが減少される見込みです。

夜間に行われる鉄道の線路メンテナンス作業

多数の電子モジュールと配線が配置された制御盤

倒木などの自然災害対策もスピードアップされており、2026年度は伐採関連予算が前年度から約10億円増額されます。これにより、鉄道用地内を中心に被害影響が大きい樹木の計画的な伐採を進めるとともに、鉄道用地外における倒木の可能性が高い樹木についても、協議のうえ伐採が行われることで、危険な倒木の発生が減少される見込みです。台風や降雪のシーズン前には、樹木・竹などの状態が事前に目視点検にて確認され、倒木・倒竹の発生防止に努めています。

6. グループ会社、パートナー会社の体制・技術力の維持

中期的に想定される設備数やメンテナンス量の増加、作業従事員の減少に対応するため、サステナブルな鉄道保守業務を目的とした待遇および作業環境の改善が行われています。関係従事員の安全性や作業生産性向上を進めることで、安全・安定輸送のさらなるレベルアップや働き方改革の実現を目指しています。

2024年から2035年にかけてのメンテナンス量と従業員数の変化を示すグラフ

具体的な取り組み例としては、樹木伐採等を目的とした多機能鉄道重機の導入による技術開発を活用した生産性向上、グループ会社における保守作業計画を最適化するシステムの導入による外部リソースを活用した生産性向上などがあります。また、酷暑期における作業場の避暑対策など、職場環境改善も実施されています。日中時間帯を活用したメンテナンス作業・工事は、首都圏線区への一部展開をはじめ、2025年度の延べ約360日から延べ約500日に拡大する計画です。

2021年度から2031年度までの番線数の推移と目標を示すグラフ

JR東日本は、これらの取り組みをグループ一体となって推進し、お客さまに安心して鉄道をご利用いただけるよう、引き続き安全・安定輸送の構築に努めていく方針です。

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