線路内自律走行型ロボットによる点検推進で鉄道の安全安定輸送を強化

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線路内自律走行型ロボットによる点検推進で鉄道の安全安定輸送を強化

JR東日本グループは、グループ経営ビジョン「勇翔2034」で掲げる「技術力の深化と進化」に基づき、安全安定輸送のさらなる向上とLX(ライフスタイル・トランスフォーメーション)の実現に向けて、「AIとロボットを駆使した働き方改革」に取り組んでいます。この一環として、線路内自律走行型ロボットによる線路点検の推進が発表されました。

遠隔点検への移行で安全性を向上

これまで鉄道の安全安定輸送を確保するため、多くの労力をかけて維持管理業務が行われてきました。特に、大雨や地震発生時には、係員が線路沿線を徒歩で巡回し、路盤の崩壊や土砂流入などの異常を目視で確認していました。この作業には二次被害のリスクや、近年増加する熊の出没による係員の安全確保といった課題がありました。

ロボットの導入により、点検作業は大きく変化します。
線路点検の現状と将来像を示す画像
このロボットは鉄道線路上を自律走行し、カメラや各種センサーで線路やその周辺の映像・データを自動で取得します。取得されたデータは機体内に保存されるほか、事務所などにいる係員にリアルタイムで送信されます。AIが支障物の検知を補助し、最終的な異常の判断は係員が遠隔で行います。これにより、係員が危険区域に立ち入る必要が減り、点検作業の安全性が向上するとともに、省人化も実現されます。

従来の徒歩巡回とロボット導入後の点検作業の比較は以下の通りです。

比較項目 これまで(徒歩巡回) ロボット導入後
点検方法 係員が線路沿線を徒歩などで巡回し、目視で列車の運行に支障を及ぼす異常の有無を確認 ロボットが線路上を自律走行し、取得したデータを係員がリアルタイムで確認して、列車の運行に支障を及ぼす異常の有無を確認
取得データ 係員の目視結果を記録(紙・端末への手入力) カメラ・センサーにより映像・データを一括で取得
異常検知 係員の経験・知見に基づく判断 補助的にAIが自動解析し、線路内の支障物を検知し、最終判断を係員が実施
安全面 獣害リスク・災害時の危険区域立入りなど、点検者への身体的なリスクがある 係員は離れた場所にいながら点検ができ、人が危険区域に入る必要を減らせる
データ蓄積 点検結果の記録が中心 走行毎にデータを蓄積し、設備管理に活用

ロボット開発の概要と実証実験

ロボットの開発は2024年4月より、深層学習技術に強みを持つ株式会社Preferred Networksのグループ企業である株式会社Preferred Roboticsと共同で開始されました。これまでに八高線など計6線区で概念実証(PoC)を含む実証実験が行われています。

開発中のロボットは、全長0.8m、全幅1.2m、全高1.8m、重量約100kgの仕様で、最高時速15km、連続稼働時間約3時間(バッテリー電動)で走行可能です。勾配35‰以下、曲線半径100m以上の条件で走行できます。

ロボットには、線路および周辺環境の映像を自動取得するカメラと、約30m先まで検知し距離精度±2cmのLiDAR(レーザーで周囲との距離を測るセンサー)、GNSS(衛星を利用して位置を把握する仕組み)が搭載されており、これらの情報をもとに安全に自律走行します。走行中に取得した映像や各種データは機体内に保存され、リアルタイムで係員へ送信されます。AIは線路周辺の支障物の検知を補助し、列車の運行に支障を及ぼす異常の有無は、事務所などにいる係員が最終的に判断します。

鉄道線路上で稼働する検査ロボット
障害物検知試験の状況、ロボット搭載カメラの映像、LiDARの取得データ
左上写真は障害物検知試験の状況、左下写真はロボット搭載カメラの映像、右画面はロボット搭載LiDARの取得データで、進路上にある物体を支障物(赤色表示)として認識している様子です。

今後の予定と展望

2026年10月末までに実用化に向けた機体製作が完了する予定で、2026年11月以降には在来線を中心にさまざまな路線での走行試験が計画されています。
開発スケジュールを示すタイムライン

今後、大雨や地震発生時の点検にロボットを活用することで、係員が危険な区域へ立ち入ることなく、事務所などから遠隔で点検作業を行えるようになります。また、熊などの野生動物に遭遇するおそれのある徒歩での作業からも解放され、働く環境の改革が実現されるでしょう。

将来的には、取得した映像や3D点群データの設備管理への活用や、ドローンの発着機能の付加による線路周辺のより詳細な状況把握など、ロボティクスとAI技術を活用して鉄道インフラにおける維持管理業務の高度化を目指していく方針です。

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