共同検討の目的
本検討は、地方分散型のデータセンター(DC)を電力システムの安定化・効率化に貢献する強みとして生かす、新たな運用モデルの確立を目指しています。具体的には、Jパワーグループ、JR各社、私鉄各社などの鉄道事業者が保有する未使用の光ファイバー回線(ダークファイバー)を用いて、全国を縦断するセキュアな自営APN網を構築します。
さらに、WLS技術を組み合わせることで、分散立地する複数のAI-DCを連携・協調運用し、あたかも一つの大規模DCのように運用することを目指しています。この社会実装を通じて、電力と情報通信インフラを一体的に高度化する「ワット・ビット連携」政策の実現に貢献し、電力システムの安定化・効率化、地方分散型デジタルインフラの一体的形成の促進、さらには地域共生の推進を図る方針です。
-
ワークロードシフト(WLS): 計算負荷を時間的または空間的に移動させることで、電力需給バランスの調整やコンピューティングリソースの有効利用などを促進する技術です。
-
オール光ネットワーク(APN): 電気信号に変換せず光のまま通信することで、低遅延・大容量・低消費電力を実現する次世代の光ネットワーク技術です。
-
ワット・ビット連携: 電力と情報通信のインフラ整備を一体的に進め、持続可能で効率的な社会基盤を築くための構想です。
背景にある課題
現在、生成AIへの期待が高まる中、社会インフラ事業者では、機密性の高い膨大なデータを安全に扱うため、信頼性の高いセキュアなAI-DCの活用ニーズが高まっています。Jパワーと日立は、Jパワーが推進するAI-DCの建設・運用において既に連携しています。
- Jパワーと日立、JパワーのAI用データセンター構築に向けた共同検討に合意: https://www.jpower.co.jp/news/2025/07/news250707.html
DCにおける計算需要および電力需要は急速に拡大しており、電力システムへの影響も大きくなっています。また、脱炭素化の進展により太陽光や風力などの自然変動電源の導入が進む中で、特定の地域や時間帯において出力抑制が発生するケースも増加傾向にあります。
これらの課題に対し、DCを首都圏の特定地域に集中させず、地方を含む複数地域に分散配置し、APNにより仮想的に統合することで、電力需給状況などに応じて計算需要を柔軟に制御することが求められています。
各社の役割
本検討では、各社の知見や技術、ノウハウなどの強みを掛け合わせることで、自営光ファイバーを相互接続し、セキュアかつ高信頼性のクローズドな広域APNを構築します。その構築にあたっては、JR各社および私鉄各社などの鉄道事業者が全国に保有する光ファイバー回線のうち、未使用または余剰となっている回線も活用し、全国規模で高信頼な通信基盤の実現を図ります。あわせて、複数のDC間における高度なWLSの検討を進めていきます。
各社の役割は以下の通りです。
-
Jパワー: WLSの技術実証に係る総括、APNの技術実証に係る総括を担当します。
-
日立: WLSの技術実証に係るシステム構築などに関する事項、APNの技術実証に係るDC局内ネットワーク設計・構成などに関する事項を担当します。
-
シスコ: APNの技術実証に係るネットワーク設計・構成などに関する事項を担当します。
-
ビットメディア: WLSの技術実証に係るシステム構築などに関する事項を担当します。
-
JR東日本: APNの技術実証に係る鉄道沿いのダークファイバー活用などに関する事項を担当します。
-
JR西日本光ネットワーク: APNの技術実証に係る鉄道沿いのダークファイバー活用などに関する事項を担当します。
-
名古屋鉄道: APNの技術実証に係る鉄道沿いのダークファイバー活用などに関する事項を担当します。
本検討の詳細
(1)WLSに関する技術検証
地方を含む複数地域に分散立地するDC群を、論理的・模擬的に構成した環境を用いて技術検証を行います。具体的には、再生可能エネルギーの発電状況、電力市場価格、気候状況および出力抑制の発生状況などをシグナルとしたWLSの検証、ならびにDC間連携に係る制御・運用手法の実現性について、重点的に検証を進めます。

(2)広域APNに関する技術検証
地方を含む複数地域に分散立地するDC群の論理的・模擬的な一体運用(仮想化)を実現するため、広域APNを用いてDC間を相互に接続・連携します。これにより、分散型DC運用に必要となる通信性能(遅延時間など)、および伝送品質などの要件を検証します。

各社について
各社の詳細情報は、以下のリンクからご確認いただけます。
-
J-POWER BLUE MISSION 2050: https://www.jpower.co.jp/bluemission2050/index.html
-
日立製作所: http://www.hitachi.co.jp/
この共同検討は、電力と情報通信インフラの高度化を通じて、持続可能で効率的な社会基盤の構築に貢献することが期待されます。

コメント