レール削正の重要性
列車が走行する際、レールと車輪が繰り返し接触することで、レール表面に金属疲労が蓄積し、傷が発生しやすくなります。これらの傷を放置すると、き裂へと進展し、最終的にはレール折損を引き起こす可能性があります。レール削正は、レール表面の金属疲労を初期段階で除去し、傷の発生や進行を抑制することで、レール折損リスクを減少させ、列車走行の安全性を向上させます。また、レールの頭部形状を整えることにより、騒音の低減に加え、振動を抑えることで列車の乗り心地も向上します。
新型レール削正車“きずな”の特長
現行のレール削正方式は、回転する砥石でレール表面を削るグラインディング式を採用しています。これに対し、“きずな”はカッター刃でレール表面を切削する「ミリング式」を新たに採用し、仕上げ削正としてグラインディング式を併用します。
この新しい削正方式の導入により、1回の作業における施工距離が現行の約2倍に延伸され、作業効率の大幅な向上が見込まれています。

削正作業で発生する切りくずは、“きずな”の切りくずコンテナに集積され、すべてリサイクルされるため、環境負荷の低減にも貢献します。さらに、作業時にほとんど火花が発生しないため、対応作業員が不要となり、作業の省力化が可能です。

また、“きずな”は輪軸を交換することで改軌(レールの間隔が異なる線路で走行できるよう車輪の幅を変更すること)が可能であり、これにより近畿日本鉄道の全線区での作業が可能となります。

“きずな”の名称に込められた思い
“きずな”の名称は、社内公募で集まった案の中から社員投票によって決定されました。この名称には、「レールの傷(きず)」を「無(な)」くすという意味と、現場係員全員の団結力と結束を示す「絆(きずな)」によって、レール折損を未然に防ぐという強い思いが込められています。
“きずな”の車両詳細
“きずな”は、以下の詳細を持つ車両です。
-
車両名: ROMILL600
-
全長: 17.0m
-
全幅: 2.7m
-
全高: 3.7m
-
総重量: 約60t
-
車体製造: ローベル社(ドイツ)
-
ミリング装置製造: シュベアバウ・インターナショナル社(ドイツ)
-
仕上がり検測装置製造: フォーゲル&プレッチャー社(オーストリア)

今後のレール削正計画とスケジュール
これまでのレール削正は、レール表面の傷が発見されてから不定期に行われていましたが、今後は既存の削正車(グラインディング式)と“きずな”を併用し、削正作業の頻度と作業量を増加させることで、レール折損リスクの減少による安全性のさらなる向上を図ります。また、定期的なレール削正を行うことでレール交換頻度を抑制し、メンテナンス作業の省力化を図る方針です。
スケジュールは以下の通りです。
-
2026年5月28日(木): 近鉄京都線宮津基地へ到着
-
2026年9月頃: 到着後の整備を経て、本線での作業を開始予定

新型レール削正車“きずな”の紹介動画も公開されています。
- 新型レール削正車“きずな” 紹介動画: https://youtu.be/ANjiOv8iHus

コメント