鉄道業界の人手不足に対応する特定技能人材育成プログラムが本格始動、全国15事業者から110名超が参加

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特定技能人材育成研修について

これまでの経緯

JR東日本グループは、2025年2月から3月にかけてJR東日本グループおよびその協力会社を対象とした特定技能人材育成研修を試行的に実施しました。この研修では、受講者25名中24名が特定技能1号評価試験に合格し、うち23名が東日本エリアの鉄道関連企業で就労を開始しています。

この成功を踏まえ、2026年2月から開講した本研修では、JR東日本以外の鉄道事業者等も広く参画できる形となりました。鉄道事業者や鉄道工事を担う協力会社等47社から申し込みがあり、各社から採用内定を得た113名の研修生が約4週間にわたり、JR東日本総合研修センター施設内で研修を受講しています。

実施概要

研修はJR東日本総合研修センターで実施され、以下の3つの区分で合計113名が受講しています。

  • 車両整備区分: 19名

  • 軌道整備区分: 49名

  • 電気設備整備区分: 45名

研修生の出身国別では、インドネシアが66名、ベトナムが42名、フィリピンが3名、モンゴルが2名です。また、事業者別ではJR東日本グループが41名(JR東日本4名を含む)、JRグループ他社が38名、他鉄道事業者各社が34名となっています。

晴れた日に撮影された、ガラス張りの近代的な建物と、その前の芝生に置かれた白い卵形のオブジェが特徴的な外観の画像です。

研修スケジュールは以下の通りです。

  • 車両整備区分: 研修 2026年2月23日~3月22日、評価試験 3月23日

  • 軌道整備区分: 研修 2026年2月27日~3月26日、評価試験 3月27日

  • 電気設備整備区分: 研修 2026年2月16日~3月15日、評価試験 3月16日

2026年度以降の展開

2026年度以降も、本研修は1回あたり100名規模の研修生を受け入れられるオープンな教育プラットフォームとして継続されます。鉄道関係各社のニーズに応じて、年2回以上の研修実施も検討されています。

JR東日本では、JARTSと連携し、アジア各国で鉄道技術を学びながら日本での就労を希望する人材に対し、現地での日本語学習の機会を提供し、将来的に特定技能人材として受け入れる取り組みも検討を進めています。また、2027年度に運用開始予定の育成就労制度を活用した人材確保に向けた準備も進められており、これらの取り組みについても他の鉄道事業者等が参画できる形を目指すとのことです。

JR東日本総合研修センター新研修棟について

JR東日本グループ創立40年記念事業の一つとして、JR東日本総合研修センター敷地内に新研修棟の建設が進められています。この新研修棟は、鉄道業界全体やJR東日本グループ全体に寄与する未来創造型総合人材育成プログラムの学びの場の象徴として、分野や職種を超えた多様な研修に対応する計画です。

鳥瞰図で描かれた研修棟と宿泊棟の施設外観です。二つの建物が連結しており、それぞれの名称が示されています。

新研修棟は最新技術と高い環境性能を備え、100名強の宿泊機能を有する施設として、2026年秋に着工し、2027年度中の使用開始を目指しています。

未来創造型総合人材育成プログラムでは、特定技能人材育成に加え、鉄道技術者育成や次世代リーダー育成が検討されており、特定技能人材育成と鉄道技術者育成については、JR東日本グループ以外の他の鉄道事業者からの受講も可能とする予定です。

延床面積とその他の特長

新研修棟の延床面積は約10,000㎡で、研修棟が約4,600㎡、宿泊棟が約5,400㎡です。

その他の特長として、鉄道林等の木材を活用した温かみのある環境と「日本らしさ」を感じられるデザインの採用が挙げられます。学習環境を充実させるため、プロジェクターやモニター等の最新教育設備が各教室等に配備される予定です。また、環境性能向上のため、建物の熱負荷低減を図るほか、太陽光発電設備の整備検討を進め、ZEB Ready(省エネによりエネルギー消費を50%以上削減)以上の認証取得を目指しています。

大型スクリーンと階段状の座席を備えた開放的な共用スペースのイメージ図と、庇と袖壁で熱負荷を低減するデザインの宿泊施設の外観イメージ図が並んでいます。

研修棟のフロアプランを示しており、食堂、大階段、パーティールームの配置がわかる。大階段前には大型スクリーンが設置され、交流やプレゼンの場として活用される計画が説明されている。

研修棟と宿泊棟からなる施設の平面図で、研修室や視聴覚室、宿泊室、祈祷室兼多目的ルーム、ミニキッチンなどの配置を示しています。宿泊室は長期滞在や学習に配慮した設計です。

この画像は、研修棟と宿泊棟に分かれた施設の機能的な配置図です。研修エリア、食堂エリア、宿泊エリアが色分けされて示されています。

特定技能人材育成研修トライアル修了生および受入企業のコメント

2025年2月から3月にかけて実施された特定技能人材育成研修トライアルを修了し、JR東日本グループおよびその協力会社で就労を開始している特定技能人材と受入企業からのコメントが紹介されています。

車両整備区分

東日本旅客鉄道株式会社のアギス ハディ ラハユさん(出身国:インドネシア)は、「日本は時間をしっかり守る国なので、列車遅延を発生させないように業務理解を深めて貢献したい。多くの方が利用する山手線に関するメンテナンス業務に従事できる点が、大きなやりがいです。」と述べています。

工場のような環境で、作業員が配管用のネジ切り機を操作している様子。作業員は身を乗り出し、機械の赤いハンドル部分を注意深く確認しながら作業を進めている。

受入企業である東日本旅客鉄道株式会社 首都圏本部 東京総合車両センターの近澤 伴也 担当科長は、「アギスさんは他会社の技能実習経験があり、生活面の指導がほとんどありません。自身が作業中に怪我をしない取扱いや、一作業一清掃の重要性を学び理解しています。」と評価しています。

軌道整備区分

野木軌道株式会社のトミ ハルジュナ プトラさん(出身国:インドネシア)は、「日本の鉄道が好きで、人を支える責任ある仕事に携わってみたかったです。責任者の資格習得を目指して励んでいます。」と意欲を語っています。

夜間作業中の男性作業員が、ヘッドライト付きヘルメットと反射ベストを着用し、工具を持って笑顔で立っています。背景には建物のような構造物が見えます。

野木軌道株式会社の野木 容誌 代表取締役は、「プトラさんは日本語習得・業務習得に対する向上心が非常に高く、日々真面目に取り組んでくれていますので、当初の期待を大きく上回っています。」とコメントしています。

電気設備整備区分

NR電気システム株式会社のズオン コン ルオンさん(出身国:ベトナム)は、「安全に関するルールは、絶対に守らないといけません。自分が間違えると、後輩も間違えることになります。もっと勉強して頑張りたいです。将来は特定技能2号になりたいです。」と目標を語っています。

黄色いヘルメットと安全ベストを着用した作業員が、屋内の駅のような場所で手元の作業に集中している様子。背景には「1」の標識が見えます。

NR電気システム株式会社の地家 龍一 常務取締役は、「ルオンさんは日本語の会話能力に優れ、積極的にコミュニケーションを図り、日々の作業を確実に遂行しています。学ぶ意欲も旺盛で、ほぼ日本人中途社員と同等な扱いもできます。鉄道信号の技術・技能を修得し、次期特定技能外国人社員を指導できる存在となることを期待しています。」と期待を寄せています。

参考情報

特定技能人材育成研修の運営体制、就労までの流れ

JR東日本が実施主体となり、研修全体のコーディネートや研修生の受け入れ、日本滞在中のサポート、受験手続き支援などを(一社)海外鉄道技術協力協会(JARTS)が担っています。研修講師は(株)JR東日本パーソネルサービス(JEPS)が担当し、研修生の母集団形成は送り出し機関や登録支援機関と連携して行われます。

JR東日本グループが主導する特定技能人材育成研修のフロー図です。送り出し機関からの研修生をJARTSやJEPSが支援し、特定技能評価試験を経て、JR東日本グループや参加企業各社の協力会社が受け入れます。日本語能力N4以上が要件です。

研修生は研修受講前に、参加企業各社から特定技能1号評価試験合格後の雇用契約締結に向けた内定を取得します。試験合格後、内定している会社と雇用契約を締結し、在留資格「特定技能」を取得することで、車両・軌道・電気設備のメンテナンス業務に従事することになります。

企業がJARTSを通じて外国人材を雇用するまでの流れを示すフローチャートです。企業からの採用希望申込から始まり、送り出し機関による人選、WEB面接、研修受講と特定技能評価試験、雇用契約、在留資格申請を経て、日本での就労に至るまでのプロセスが示されています。

技能実習・特定技能に関連するこれまでのプレスリリース

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