接岨峡温泉会館の魅力と歴史
接岨峡温泉〈せっその湯〉は、自然豊かな大井川上流域に湧く、全国的にも希少なナトリウム炭酸水素塩冷鉱泉で、「若返りの湯」として長年親しまれてきました。しかし、近年はコロナ禍の影響、地域の高齢化や利用者数の減少、施設の老朽化といった複合的な課題により、2021年に一時休館していました。
それでも、接岨峡温泉は地域にとって大切なシンボルであり、観光資源としての価値も高い場所です。地域住民から「もう一度、この温泉を復活させたい」という強い思いが寄せられ、再生に向けたプロジェクトが始動しました。今回の取り組みでは、これまで日帰り利用が中心だった温泉に“宿泊”という新たな価値を加え、地域観光の課題であった宿泊拠点不足の解消や、滞在型観光の促進を目指しています。

宿泊提供開始の経緯と体制
接岨峡温泉の再生にあたり、最適な宿泊提供を行うための新たな運営体制を構築するため、株式会社SOZONEXT、株式会社西東、川根本町が連携し、それぞれの強みを活かした役割分担を整えました。
株式会社SOZONEXTは、施設再生や運営に関するノウハウをもとに、宿泊事業の立ち上げを主導しています。OTA(オンライン旅行代理店)を活用した国内外への販売体制の構築や、サービス品質向上の仕組みづくりを担い、温泉施設の価値を最大限に引き出す運営を進めています。
一方、株式会社西東は、建物・設備の維持管理、施設を運営する人員の提供や教育を担当し、安全性と快適性を確保することで、利用者が安心して滞在できる環境を支えています。地域創生に取り組む企業として、施設の長期的な価値向上にも寄与しています。
さらに、川根本町は公民連携の枠組みを通じてプロジェクト全体を支え、地域の声を反映した運営方針の策定に関わっています。町としての期待や役割を明確にしながら、地域資源を活かした観光モデルの実現を後押ししています。
この三者が協働することで、接岨峡温泉は「温泉 × 宿泊」を軸とした新たな地域観光の拠点として再生へと歩み始めています。
宿泊提供が生む確かな成果
2022年8月から2025年12月までの宿泊運営において、延べ宿泊人数は1,000名を突破しました。訪日外国人の利用割合は23%に達し、国内外からの関心が高まっています。また、静岡県外からの宿泊者が92%を占めるなど、全国規模で選ばれる宿泊拠点へと成長していることが特徴です。


利用者の65%が20~40代で、若い世代の旅の目的地として支持されています。さらに、10代以下の利用率が17%に達し、家族旅行の受け皿としての役割も拡大しています。これにより、地域の未来につながる“旅のレガシー”が育まれつつあることが示されています。

地域活性化の起点として広がる可能性
宿泊と近隣観光を組み合わせた利用が増加し、地域全体の回遊性が向上しています。訪日客の23%という高い利用率も追い風となり、接岨峡温泉会館は日本の文化や歴史を感じられる拠点として、地域活性化を牽引する存在へと進化しています。今後も、この温泉会館を起点に川根本町の魅力を国内外へ発信する取り組みが継続されます。

川根本町のデジタル推進課 課長・服部了士氏、観光交流課 課長・神谷毅氏へのインタビューでは、歴史ある温泉施設を“再び愛される場所”にしたいという町の強い思いが語られました。施設の老朽化、運営人材の確保、オンライン集客の遅れといった課題に対し、宿泊機能の付加による滞在促進への期待が高まったといいます。

SOZONEXTと西東との連携については、「地域の方々を常に考えながら動いてくれる強いパートナー」と評価されており、密なコミュニケーションが安定運営を支えていることが分かります。宿泊開始後は、訪日外国人の利用増加や温泉を目的とした宿泊需要の拡大が見られ、これまで想定していなかった層の来訪が増加しているとのことです。
さらに、町が推進する「ミズベリング事業」※1などの取り組みとの相乗効果も期待され、地域全体の観光動線が広がりつつあります。
※1 ミズベリング事業とは:河川や湖における水辺空間を地域活性化に活用することを目的とした取組で、国土交通省が2013年より推進しています。川根本町では「奥大井の旅に、新しい拠点を」というコンセプトのもと、接岨峡周辺の水辺空間を賑わいづくりの拠点と位置づけ、訪日客を含む多様な旅人が集う場として、地域の魅力をさらに広げる存在となることを目指しています。
川根本町には、接岨峡温泉のほか、奥大井湖上駅やアプト式鉄道など、全国的にも希少な観光資源が豊富です。町全体が南アルプスユネスコエコパークに認定されていることも強みです。2028年に予定されている大井川鐵道の全面開通を追い風に、今後も新たな取り組みを加速させ、より多くの人が楽しめるまちづくりを進めていく意向が示されています。「地域の方々はもちろん、川根本町を訪れるすべての方に楽しんでいただける町を目指したい」という言葉には、地域の未来を見据えた確かな意志が込められています。



SOZONEXTが描く持続可能な地方創生
SOZONEXTが推進する地方創生は、地域に眠る資源を丁寧に洗い出し、それらを“宿泊・観光”という形で再編集することで、新たな経済循環を生み出すことを目指す取り組みです。地域の魅力を価値として再構築し、持続可能な収益モデルへと転換するアプローチが、SOZONEXTの事業の核となっています。
同社は、全国各地で地域の不動産を活用する民間企業、宿泊提供を通じて地域活性化に取り組むNPO、そして行政など、多様なパートナーと協働しながら、それぞれの地域に最適な“稼げる仕組み”を共創しています。地域ごとに抱える課題は異なりますが、共通しているのは「地域資源を価値に変え、自立的に稼げる未来をつくる」という視点です。
これからもSOZONEXTは、地域の声に寄り添い、多様なパートナーとともに価値を創り出すことで、全国のまちづくりに新しい選択肢を提示していきます。地域の可能性を最大限に引き出し、未来へとつなぐ“持続可能な地方創生”の実現に向けて、挑戦を続けています。

株式会社SOZONEXTの詳細については、以下のウェブサイトをご覧ください。
株式会社SOZONEXT
株式会社西東について
株式会社西東は、1921年の創業から100周年を迎えました。静岡県島田市を拠点に石油の卸・小売業のエネルギー供給と自動車サービスを基盤としながら、飲食・物産販売・温浴・宿泊事業など、地域の暮らしに寄り添う多様なサービスを展開してきました。「ライフコンシェルジュとしてお客様の生活を豊かにします」という理念のもと、日々の暮らしから観光・レジャーまで、地域の皆さまに安心と快適を届けることを使命としています。また、行政施設の指定管理業務にも取り組み、地域の公共サービス向上と活性化に貢献しています。
これからも、地域社会とともに歩み、新たな価値を創造し続けていく方針です。

株式会社西東の詳細については、以下のウェブサイトをご覧ください。
株式会社西東
接岨峡温泉会館
接岨峡温泉会館の詳細については、以下のウェブサイトをご覧ください。
接岨峡温泉会館
接岨峡温泉会館の再生プロジェクトは、「地域の価値を未来につなぐ宿泊運営」を実践するものです。歴史ある温泉に宿泊という新たな機能を加えることで、地域の課題であった滞在拠点の不足を補い、川根本町の観光に新しい流れを生み出すことができたと考えられます。宿泊提供を通じて、これまで届かなかった層へ地域の魅力が広がり、温泉会館は“地域を知る入口”としての役割を果たし始めています。こうした変化は、地域資源を丁寧に磨き上げ、持続可能な形で活かしていくことの重要性を改めて示しています。今後も、宿泊運営を通じて川根本町の自然・文化・歴史がより多くの人に届くよう、地域とともに歩みながら、未来のまちづくりに寄与していく方針です。

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