駅務員のシフト作成における課題
鉄道事業者の駅務員の勤務体系は、夜間宿泊を伴う泊まり勤務や日勤、早番、遅番など多岐にわたります。さらに、泊まり勤務後には非番が設けられるといった鉄道業界特有の勤務ルールが存在します。従来、駅務員はこれらの複雑な勤務体系やルール、個々のシフト希望を考慮しながらシフトを作成し、急な欠員や欠勤者への代務調整も手作業で行っていました。これらの業務には多くの時間が費やされ、属人化しやすいという課題がありました。また、一般的なシフト作成ツールでは、鉄道業界特有の複雑な勤務体系に対応しきれないため、シフト作成の自動化・省力化が困難でした。
「デジタル作業ダイヤ」の特長
三菱電機が鉄道分野で培った駅業務に関する知見とAI技術を組み合わせ、「デジタル作業ダイヤ」のプロトタイプが開発されました。このシステムは、泊まり勤務など鉄道業界特有の複雑な勤務体系・ルールを遵守しつつ、駅務員一人ひとりのシフト希望に沿ったシフト作成をAIで自動化します。また、急な欠勤が発生した際には、直近の代務回数などの勤務実績データに基づき、代務者候補を速やかに選定する機能も搭載されています。これにより、特定の駅務員に負担が集中しないよう公平性を確保し、代務調整業務に携わる駅務員の業務負荷と心理的負担の軽減に貢献します。

主な機能
-
AIによる自動シフト作成
-
鉄道事業者向けのノウハウを活用し、駅務員の複雑な勤務体系・ルールに対応したシフトをAIが自動で作成します。
-
同一管轄区域内の複数駅をまとめた運営に対応し、駅務員の駅間応援やシフト希望を柔軟に取り入れたシフトが自動作成されます。
-
急な欠員時の代務調整
-
急な欠勤発生時に、勤務実績データに基づき代務者候補を速やかに選定します。
-
AIが代務調整の公平性を確保し、業務担当者の負担軽減に寄与します。
-
実証実験とその結果
この「デジタル作業ダイヤ」は、以下の場所と期間で実証実験が行われました。
-
実施場所:
-
沖縄都市モノレール那覇空港駅、県庁前駅、てだこ浦西駅事務所
-
西鉄福岡(天神)駅事務所
-
-
実験期間:
-
沖縄都市モノレール:2025年3月3日~5月31日、2025年12月15日~2026年2月28日
-
西日本鉄道:2025年9月1日~11月30日
-
-
実施内容:
-
沖縄都市モノレール:シフト作成機能、代務調整機能の評価
-
西日本鉄道:代務調整機能の評価
-
実証実験の結果、シフト作成機能については、勤務体系・ルールに沿った抜け漏れやミスの少ない高品質なシフトを自動作成できる点が評価されました。協力した鉄道事業者へのアンケートでは、「従来とほぼ同等のシフト割り当てができている」「現場で使う価値がある」といった肯定的な回答が得られ、従来の最大5分の1程度の作業時間で作成できる可能性が示されました。代務調整機能についても、勤務実績データに基づく代務者の推薦により、調整時の心理的負担軽減に有効との評価が得られています。一方で、熟練作業者であれば「デジタル作業ダイヤ」と同等の作業時間で作成できるという意見もあったことから、今後はAI提案と人による最終判断を組み合わせた運用が検討されています。
今後の展望と「駅務DXソリューション」
三菱電機は、実証実験の結果を踏まえ、駅務員の課題を解決する機能を強化し、2027年までのサービス提供開始を目指して具体的な検討を進めています。将来的には、バス・タクシーなどの二次交通、空港などのアーバンモビリティ、駅周辺のホテルや警備など、交代勤務を行う多様な事業者へのサービス拡大を通じて、駅を中心とした地域の課題解決に貢献することを目指しています。
さらに、三菱電機のデジタル基盤「Serendie®」を活用し、「デジタル作業ダイヤ」を旅客対応業務などのさまざまな駅業務データと連携させることで、駅業務全体の省力化・効率化を支援する「駅務DXソリューション」の構築を目指します。

「駅務DXソリューション」は、駅務員のシフト計画に基づく勤務状況を作成する「デジタル作業ダイヤ」と、旅客からの呼び出し・要望に対応する「デジタル遠隔窓口」の2本柱で構成されます。これらの機能が取得したデータは、駅務全体を管理・統制する「駅務管制システム」に集約され、駅全体の業務を統括的に管理することで、鉄道事業者の新しい駅運営を支援します。このサービスを通じて、駅業務における旅客サービスの維持と効率化に貢献し、持続可能な駅務運営の実現を目指していくとのことです。
詳細については、以下の三菱電機のウェブサイトをご確認ください。
https://www.mitsubishielectric.co.jp/ja/pr/2026/0803_pu/
三菱電機グループについて
三菱電機グループは、「Our Philosophy」のもと、サステナビリティを経営の根幹に据え、社会・顧客・株主・従業員をはじめとしたステークホルダーからの信頼を重んじています。また、「収益性」「資本効率」「成長性」を追求するとともに、顧客と繋がり続けて社会課題を解決する新たな価値を創出し、企業価値の持続的向上を図っています。1921年の創業以来、100年を超える歴史を有し、社会システム、エネルギーシステム、防衛・宇宙システム、FAシステム、自動車機器、ビルシステム、空調・家電、デジタルイノベーション、半導体・デバイスといった事業を展開しています。詳細は、オフィシャルウェブサイト:https://www.mitsubishielectric.co.jp/ja/をご覧ください。
お客様からのお問い合わせ先
三菱電機株式会社 社会システム事業本部
モビリティインフラシステム事業部
E-mail:rail.webmaster@nb.MitsubishiElectric.co.jp

コメント