6G時代に向け、複数の高速移動車両で安定した大容量ミリ波通信の実証に成功

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背景と課題

自動車や列車などで高速移動中にミリ波のような高い周波数帯で通信を行う場合、基地局の切り替えが頻繁に発生し、電波のドップラー周波数や伝搬遅延が急激に変化することで通信品質が低下するという課題がありました。これに対し、NTTドコモ、NEC、NTTはこれまでもこの課題に取り組んでおり、2025年3月には高速移動車両1台に対して基地局側で信号の送信周波数と送信タイミングを補正することで、通信品質を安定させる技術の実証に成功していました。

今回の実証では、この技術をさらに発展させ、対向車線を互いに向かい合って高速で走行する複数の無線端末車両が同時に通信するという、より複雑な環境下でも各無線端末車両の通信品質低下を抑制する技術を開発しました。

本技術の特長

今回開発された技術は、基地局から複数のアンテナを分散配置する分散MIMO技術と、信号の送信周波数と送信タイミングを事前補正する技術を組み合わせたものです。具体的には、基地局のアンテナごとに各無線端末車両から送られる上り参照信号を用いて、それぞれの無線端末車両に適切な送信周波数や信号の送信タイミングを事前に推定します。そして、多重化する信号を無線端末車両ごとに事前補正した上で合成して送信することで、複数の無線端末車両におけるアンテナ切り替え時の受信周波数や受信タイミングの差を同時に解消し、ミリ波大容量通信の安定化を実現します。

図1 複数の無線端末車両に対応した送信周波数・送信タイミング事前補正技術

実証実験の内容と結果

本技術の実証実験は、2026年3月26日から27日にかけて、国土交通省 国土技術政策総合研究所内に設置された実大トンネル型の実験施設で実施されました。高速移動環境を模擬するため、基地局の分散アンテナを道路の片側に150m間隔で3台設置し、2台の無線端末車両をそれぞれ時速60kmで対向車線を走行させて下りリンクの伝送実験が行われました。

図2 実証実験イメージ

この実験では、より複雑な伝搬環境であるトンネル内で検証が行われ、電波がトンネル内で反射し、走行中のアンテナ切り換えが頻繁に発生しました。従来技術のみを適用した場合、アンテナ切り替え時の合計スループットは550Mbpsから110Mbps程度まで大幅に低下し、走行30秒間の平均スループットは約430Mbpsでした。これに対し、本技術を適用した場合は、アンテナ切り替え時のスループット低下が抑制され、安定して380Mbps以上の高いスループットを維持しました。その結果、平均スループットは560Mbpsとなり、従来技術と比較して約1.3倍に向上することが確認されました。

図3 実験結果①(従来技術と本技術における無線端末車両の合計スループット比較)

また、累積分布関数(CDF)における下位5%値のスループットも、従来技術の270Mbpsに対し、本技術では480Mbpsと約1.8倍向上しました。

図4 実験結果②(従来技術と本技術における無線端末車両の合計スループットの累積分布関数)

本実証実験の紹介動画は以下でご覧いただけます。
本実証実験の紹介動画

今後の展開

本実証により、複数の自動車や列車が高速移動する環境でも、ミリ波分散MIMOを活用した大容量かつ安定した通信が実現可能であることが確認され、社会実装に向けて大きく前進しました。この成功により、車内でのXR(拡張現実)などの没入型サービスや、生成AIを活用したリアルタイム翻訳・案内、さらには協調型自動運転に向けたセンサデータの連携など、ミリ波通信の幅広い活用が期待されます。

今後は、高速鉄道や在来線、幹線道路など、さまざまな実環境を想定した実証実験を進め、6G時代における安定した大容量通信の実現に貢献していく予定です。

なお、本実証の模様および成果は、以下のイベントにて展示されます。

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